パープルは、ブリアティルトと異なる世界で生まれた。
その世界に名前は無い。 そこに住む住人たちは異世界に対して名前をつけることはあっても、自分達が住む世界に特別な名前をつけることはなかったからだ。 魔法が存在し、科学のあまり発達していない、ごくありふれたファンタジー世界だった。
過去の期末(ラストステータス)のキャラシートのスクリーンショットです。
パープルは、ブリアティルトと異なる世界で生まれた。
その世界に名前は無い。 そこに住む住人たちは異世界に対して名前をつけることはあっても、自分達が住む世界に特別な名前をつけることはなかったからだ。 魔法が存在し、科学のあまり発達していない、ごくありふれたファンタジー世界だった。
関連する物語:パープルSS「紫の瞳の過去」
出身世界から追放されたパープルは次元の狭間を彷徨った。 そして、黄金の門を抜け、ブリアティルトに降り立つ。 そこは3期のブリアティルトだった。
この時パープルは幸運にも悪魔の支配から脱することができた。 彷徨った時間が長かったこと。 ブリアティルトと出身世界の時空間が十分に遠かったこと。 なによりも、門を通ってブリアティルトを来訪した者は、《上位》によって力を封じられ、別世界の神や超人であっても弱体化するためだった。
パープルはオーラムの王都アティルトで傭兵として活動を始めた。 当時この世界では5つの大国による戦争が勃発していたため、傭兵になれば生活に困ることがなかったからだ。
パープルはシャルロッテとマルクの二人を仲間に加え、傭兵部隊「ロッテにまかせた」を結成し従軍していくことになる。
そうして数年ほど経ち、戦争も終わった。 順調に功績を重ね、団長にまで上りつめていた。報酬のガッツもたくさんあった。 十分すぎる地位としばらくは遊んで暮らせるだけの財産を得ることができたのだ。しかし…。
このときのパープルは《巻き戻り》…この世界の時間が巻き戻り、ループを繰り返すこと…を知らなかった。
何度かの《巻き戻り》を経験し、パープルは少しづつだがループを認識することができるようになっていった。
《巻き戻り》は100%完全に元に戻ることはなく、毎回少しづつ変化があるのだ。 気が付くと仲間のマルクはいなくなり、新たにオーガが仲間になっていた。 シャルロッテはずっと居てくれるが、やはり微妙な違いがあった。 門を超えてきた傭兵達の多くはそういった変化に気づき、ループを認識するらしい。パープルも同様だった。
それにともない、過去の経験を蓄積することができるようになり、パープルは少しづつ強くなっていった。 だがそれは、その身に宿る悪魔も力を取り戻しているということでもあった。 少しづつ、悪魔によってパープルの精神は浸蝕されていった…。
やがて、パープルは《巻き戻り》の先に何があるのかを知りたいと思うようになった。
きっかけは6期のオーラムが大優勢だったことだ。そのまま歴史が続けば、大陸最強国となるに違いなかった。 しかもパープルは将軍階級になっていた。 「戦勝国の軍部の最高階級を得ているなら、残りの人生は安泰に違いない。」 と考えたパープルは6期の終わりに《巻き戻り》を飛び越えることを試みるのだった。 持っていたガッツを使って、時間を飛び越えるための大規模魔法を行うための魔法陣を完成させた。 しかしその試みはうまく行かなかった。力不足か、準備不足か、あるいは《上位》の介入があったのか…。
しかも、たんに失敗して巻き戻っただけではすまなかったのだ。 新たな《巡り》(7期)のシャルロッテは、別人になっているようなのだ。能力は同じだが、傭兵ではなく、トリレンマの研究員になっていた。
6期末にパープルが《巻き戻り》を超えようとした試みは、ループにおかしな影響を与えてしまい、それ以前の歴史を狂わせているようだった。
仲間のオーガは異世界の機械文明の住人だ。 ブリアティルトの住人からは“バーサーカー”と呼ばれる種族だ。
オーガは黄金の門を使わずにブリアティルトと自分たちの世界を往来する能力を持っていた。 《時空跳躍》と呼んでいるその能力によって、オーガは時間ループに巻きこまれることを避けることができる。 《巻き戻り》の影響を受けないオーガは、過去のことを全て記憶しているらしい。 シャルロッテのことも、7期と6期以前では別人であると認識できているようだ。
7期の終わり、パープルはオーガと一緒にバーサーカーの世界に跳ぶことを選択した。 オーガたちが“母港”と呼んでいるそこに跳ぶことで、パープルもまた《巻き戻り》の影響を避けることができる。 そしてオーガとともに、以前のシャルロッテがいる時空に戻るのだ!
しかし、母港にたどり着いたパープルを待っていたのはまったく予期しない出来事だった。 「6期以前のシャルロッテはあらゆる時空から消えてしまった。」とバーサーカーたちから告げられたのだ。
さらにバーサーカーたちは“シャルロッテの代わり”としてシャルロッテⅡとかいう新しい機械人間を作っていた。 シャルロッテを探すより、 新しくシャルロッテを作り直す方が、コストがかからない…とか言う理由で。
このことにパープルは憤った。 「そんな簡単にロッテを見捨てるなんて信じられない。探すのを手伝なさい。手伝ってくれたら、何でもしてあげるわ!」と。 バーサーカーたちは、「パープルもバーサーカーの仲間となり、今後の任務を手伝うこと」を条件にシャルロッテを探すことを承諾した。
そうしてパープルはアンネローゼ~シャルロッテⅡとして開発されたが、パープルによって名称を変更された機体~とともに、シャルロッテを探してブリアティルトに旅立つのだった。
そうして、8期の《巡り》の中でシャルロッテを探し続けていたが、何一つ手がかりを得ることはなかった。
やみくもに探しても無理だと悟ったパープルは、別の方法を考える。そうして1つのアイデアを思いつく。 かつて6期の《巡り》で、《巻き戻り》を超えようと試み、それが失敗したことで、シャルロッテに何かの影響が発生し、その存在があやしくなってしまったのだ。 ならば同じ状況を生み出し、今度は自分がその影響を受ければ、シャルロッテがいる世界に辿り着くのではないか…。
アンネローゼに邪魔されることを恐れたパープルはアンネローゼの能力を封じた。 そして6期に考えた魔法陣を改造し、シャルロッテのいる世界に跳ぼうとした。 しかし、この試みはまたしても失敗、パープルは時空の迷子になってしまうのだった。
そのころ実はシャルロッテは…(作成中)
そうして、8期の《巡り》の中でシャルロッテを探し続けていたが、何一つ手がかりを得ることはなかった。
やみくもに探しても無理だと悟ったパープルは、別の方法を考える。そうして1つのアイデアを思いつく。 かつて6期の《巡り》で、《巻き戻り》を超えようと試み、それが失敗したことで、シャルロッテに何かの影響が発生し、その存在があやしくなってしまったのだ。 ならば同じ状況を生み出し、今度は自分がその影響を受ければ、シャルロッテがいる世界に辿り着くのではないか…。
アンネローゼに邪魔されることを恐れたパープルはアンネローゼの能力を封じた。 そして6期に考えた魔法陣の改良版を構築し、シャルロッテのいる世界に跳ぼうとした。 しかし、この試みはまたしても失敗、パープルは時空の迷子になってしまうのだった。
そのころ実はシャルロッテは…(作成中)
パープルはブリアティルトの世界から弾き飛ばされて、世界と世界の間にある狭間をさまようことになってしまう。
そこは何もない無の空間。生きているのか死んでいるのかも判別のつかなくなってしまう異空間。
そこから脱出する方法がわからず、困り果てたパープルに“悪魔”の囁きが聞こえてきた。
「ブリアティルトに戻る手伝いをしてやろう…。」
「身体を乗っ取ったりはしない…。この退屈な世界から共に抜け出すのだ。私を受け入れよ…。」
初めは抵抗していたパープルだったが、自力ではブリアティルトに戻ることができないことへの焦りと絶望から悪魔の言葉を受け入れてしまう。
こうして悪魔と“融合”したパープルは10期のブリアティルトに帰還するのだった。
そして、シャルロッテと再開を果たす。 ⇒ 再開時のショートストーリー(シャルロッテ視点)
シャルロッテたちと再会したパープルだったが、肉体も精神もボロボロの状態だった。パープルはブリアティルトからバーサーカーの“母港”に運ばれ、そこで治療を受けることになった。
しかし、悪魔と同意のうえで融合していた肉体と精神を完全に治療することは不可能と判断され、バーサーカーたちは1つの提案をパープルに行った。
「パープルさん、あなたは“悪魔”と完全に融合しています。もう、元に戻すことはできません…」
「…結論として、今後あなたが取ることのできる行動の選択肢は2つあります。」
「1つは、このまま“悪魔”と融合した状態で全てを受け入れること。ただし、“悪魔”が我々にとって敵対的で危険な存在であることは明白なため、あなたを”悪魔”ごと処分せざるを得ません。わかりやすく言えば、あなたは死んでしまうことになります。」
「もう1つの選択肢は、あなたの肉体的特長、人格、記憶などのデータを可能な限り保存し、それをもとに、私達の仲間…機械生命体となるのです。」
以前も聞いた声だったので、声の主がバーサーカーたちのリーダーであるマザーと呼ばれる存在であることはわかった。
「ねえ、1つ質問。私をここに送ってきたのは、ロッテなのよね。つまり、ロッテは見つかったのよね。」
ロッテの無事を確認しつつ、パープルは1つの契約を思い出していた。
「だったら、私の答えは決まっているわ。私、そういう契約をしたわよね。“悪魔”と完全に融合した私にとって、契約は絶対。抗うことはできないの。」
契約…それは、「ロッテを探すことを手伝う代わりに、パープルがバーサーカーの仲間となり、今後の任務を手伝う」という内容だった。
オリジナルからのデータ抽出とメモリへの保存にかかったのが1日。その後、バーサーカーの基本プログラムにコピーした人格・記憶データが追加され、2日ほどかけてデータの整合チェックと統合を行なった。いずれの作業も普通なら数年かけて慎重に行うべきことなのだが、今は時間が無かった。3日という日程は、過去に例を見ない速さだった。
その期間に私の体が準備された。ブリアティルトでの戦闘経験を持つ私は戦闘艦としての体を与えられることになった。基本設計はアンネローゼと同じだが、若干の改良も加えられている。シャルロッテ級2番艦・パープルmkⅡが私の正式名称だ。
その体に、統合されたプログラムがインストールされ、私は起動された。
そして、今。私は治療装置に収納されたオリジナルと対峙していた。これからここで起きることを考えると、すごく心苦しい。
マザーの声がした。
「パープルさん、まだ意識はありますね。次のあなたの準備が整いました。確認できますか。」
「見えるわ。顔は私そっくりね。とんがり耳はオーガちゃんやローゼと一緒なのね。」
私はオリジナルに話をした。
「私はパープルmkⅡです。私はこれからあなたに変わって生きていきます。あなたがいなければ私はいません。なんと言えばよいのか・・・。そのう・・・。ありがとう・・・ございます。」
「あら、あなた、泣いているの。マザーさん、約束を守ってくれたみたいね。安心したわ。」
「はい。笑うこと、泣くこと、涙を流すこと、食事をし、美味しさに感動すること。その他、あなたが絶対に欲しいといった機能は可能な限り備えました。」
「最後にもう1つお願い。mkⅡなんてだめよ。名前はパープルだけにしてね。」
「そして…、機械のあなたには難しことかも知れないけど、出来るだけいい加減に、好き勝手に生きてね。そうじゃないと“私”じゃないわ。」
それきり、パープルさんの脳波は静かになっていった。深い眠りに入ったようだ。
「では、パープルmkⅡ。あなたは以後正式名称をパープルとします。そして、引継ぎを完了させましょう。」
マザーの指示に従い、私は慎重に装置を操作した。装置は正しく稼動し、装置内の液体の成分が少しづつ入れ替わっていく。 治療のための成分から、消滅のための液体に…。
やがて中に入っているオリジナルは痛みや苦しみを味わうことなく、活動を止めた。 そして分解され液体に溶けて消えていく。
私はその様子を、じっと見つづけた。これは私が直接やら無ければならない儀式。最後のそのときを永遠に記録に残すのだ。
私をコピーする作業が完了したのは1時間後だった。
パープルはバーサーカーとしての生活を始めた。“防衛艦隊”に所属し、新しい身体の動かし方や戦い方を学ぶための訓練の日々を過ごした。
ある日のこと、1つの通知と1つの命令がパープルに届いた。 ブリアティルトで《巻き戻り》が発生したのだ。そして命令は…。
「マザー。命令を受領しました。これより私はブリアティルトに移動し、オーガちゃん…じゃなくてオーガ姉様の指揮下に入り、ブリアティルト監視任務につきます。」